【MiNERVA-asahi】憧れていた舞台へ。第26回シクロクロス全日本選手権レポート

2020.12.05

日本一はここで決まる。すべての技術が試される全日本の超難関コース!!

11月29日に長野県飯山市で行われた「第26回シクロクロス全日本選手権」にあさひ公式レーシングチーム「MiNERVA-asahi」の折橋選手(C1)が参戦しました。

日本一決定戦の舞台となるのは長野県飯山市。
過去に一度全日本選手権が行われた会場でもあり、高低差のある運動公園に特設されたステージは年によって様々な表情を見せ、雨になると国内屈指の泥レースになることで有名です。

    主に公園内の斜面を使ったキャンバーによって構成されるこのコースは、いかに斜面をうまく走れるかがポイントとなり、時としてほぼ乗車困難になる場合もなるため自転車を操る能力だけでなく、ラン(自転車を担いで走ること)の能力の高さも重要なポイントとなりえます。
キャンバーをうまく走るテクニック、ラン、担ぎの箇所の見極めなど、様々な要素が組み合わせされ、まさにシクロクロスの日本一を決めるに相応しい会場です。


JCF HP参照

折橋選手にとってシクロクロス競技人生で初めての舞台。この試合のために日々特訓を重ねてきた折橋選手は、果たして憧れの舞台で爪痕を残せるのでしょうか。

競技歴4年目にして初出場。日本一を決めるレースに参加した折橋選手からのレースレポート!

こんにちは。船橋松が丘店の折橋です!

今回は文字通り、「シクロクロス競技の日本一」を決める全日本選手権大会です。

わたしのシクロクロス競技歴は4年になりますが、これまでJCF(日本自転車競技連盟)ランキング100位以内という全日本選手権への出場資格が獲得できず、このレースに挑戦することができませんでした。

しかし、今年になってついに各レースでポイントを積み重ね、ランキング24位となり、初めてこの大会への出場権を獲得できました!

前日は試走も難しいくらいの雨が降っていたのですが、快晴によりドロドロだった路面は徐々に固まりつつありました。そのため、乗車できる箇所が増え、昨日の想定よりも周回数が伸びることが予想されます。

試走の時間になり、最後のコースチェックをして、ピットスタッフと共に機材等の再確認を行いました。
路面のコンディションから、今日のタイヤの空気圧はフロント1.50、リア1.51barにして、ブロックタイヤではなくセンターのみスリックのタイヤを使用しました。これによって泥のまとわりつきによる重量増加を少しでも避けるのが目的です。

~ひとことメモ~ 細かい空気圧のセッティングで勝敗が決まるシクロクロスレース
シクロクロスのレースはコースや当日の天候によって路面の状況が大きく異なります。雨の翌日の場合、地面がぬかるんで足を取られたり、大きい石がゴロゴロ転がっている路面の場合、石に乗り上げてパンクしてしまうこともあります。そのため、本番前の試走で当日の路面状況を確認し、タイヤの空気圧を変えることで、トラブルを回避します。一見豪快に見えて、繊細で奥が深いスポーツですね~。

乗車できるか際どい区間は無理して乗らず、担ぎに切り替えるというプランで行くことにしましたが、コンディションが変わることもあるため別のタイヤを装着した自転車も用意しました。

~ひとことメモ~ 自転車が生き返る!選手を支えるレース中の「ピット」の役割

今回のようなマッドコンディションのレースではピットが非常に重要になり、トラブルがあった際はバイクごとピットで交換します。泥がまとわりついた自転車を綺麗な自転車と交換、選手が走っている間に洗車し、次の周回で受け渡すという役目があり、ピットスタッフとの連携が勝敗を分けることもあります。今回のコースはダブルピットと言い、前半と後半に同じピットを通過するようにコースが作られています。

通常、スペアバイクは全く同じバイクを用意するのが普通ですが、あいにく私は持ち合わせがないため性格の違うバイクでレースで参戦しています。そのため、前半と後半どのタイミングでピットに入るかを入念に考える必要がありました。

スタート直後から息もできないほどのタフな展開

いよいよスタートラインに選手たちが並びます。独特な緊張感の中、スタートの合図が鳴り響きます。

集団は一斉にスタートラインを切ると約200mの舗装路のアップダウンを走り抜けてキャンパーに突っ込みます。


舗装路からキャンバー区間へは一気に幅が絞られ、コース幅も狭く、バイクスピードもガクンと落ちるため昨日と今日のレースでは毎度のように転倒が起きていました。

幸い私の前で大きな落車はなかったのですが、泥の抵抗で前走者が詰まったことにより、自分も降車を余儀なくされます。

スタートダッシュに成功したため最初のキャンバーを抜ける頃には20番手以内と、なかなか良い順位につけたのですが、重たい泥を走るうちにどんどん心拍数が上がり、スタートから1分で呼吸ができないレベルにまで追い込まれてしまいました。
そんな中、泥を抜けた後のスリッピーなアスファルトで転倒しかけ、せっかくスタートで好調だった順位を落としてしまいました。

ずっしり泥がついたバイクを新しく!ピットとの連携で徐々に調子をつかむ折橋選手

2周目、最初のドロドロ区間へ入る際、前を走る選手が転倒しました。真横に大きく塞がる形だったので、自分も降車し、なるべくバイクに泥がつかないよう芝の区間は自転車を担いで進みました。しかし!降車して足を下ろした地点が泥だったためシューズに大量の泥が付着し、何度もクリートキャッチミスし、時間を使ってしまいます。

何とか泥を落としながら進むと、コース前半の最初のピットインに入りました。半周した後すぐにバイクを用意してほしい、とスタッフに伝え、替えのバイクで進みます。

交換するバイクは泥捌けの性能も違うため、この周回では担ぎを多く入れないといけません。森林区間では泥がバイクにつかないよう早めに担ぎを入れ、体の負担を減らします。

森林区間を抜け、後半のピットで最初に乗っていたバイクに交換してもらいます。先ほどまで重かった自転車でしたが洗車のおかげでだいぶ楽になりました。
乗車できる区間では、前との選手との差が詰まるのが見え、徐々に差を詰めていきます。

選手を苦しませる乗車不可能なキャンバー区間!

自転車を背負った状態で泥の壁をよじ登った後、最も長いキャンバー区間に差し掛かります。

この区間はどれだけバイクコントロールがうまくても、トップ選手でも最後まで乗ったままの走行は不可能。なので自転車から降りて担ぐか、押しながら進む必要があります。

「自転車から降りる」というと楽に聞こえますが、泥をまとった状態の自転車を背負いながら足場の悪い斜面を走るため、慎重な足運びをしないと滑ってレースへの復帰が困難になります。

なんとか25番手前後で裏の森林区間に入り、コース中最も担ぎが多くなるセクションへ突入しました。
このセクションはバイクを押した場合、足取りは軽くなりますが、その先の階段で担いだ際にタイヤに付着した路面の泥がかなりの重量になるため、私は終始担ぐことにしました。

~ひとことメモ~ 泥だけで重量2kg!想像以上に重くなる車体
自転車に泥がつくって、大したことないって思っている人もいるかもしれませんが、シクロクロスコース上のねっとりとした泥は普段の暮らしでは想像できないほどの重さになります。芝生や落ち葉などを含んだ泥がバイクに付着すると時には2kg近くも重くなったりします。軽いダンベルをぶら下げているようなものですね!!

階段を登り終え後半のピットへ向かう下りに入ります。
このエリアはただの下りのように見えますが、前のバイクの通った轍をうまく走らないと一瞬で転倒してしまいます!

何とか27番手でピット脇のシケインを通過し、最初の周回は10分17秒で通過しました。

レース中のアナウンスによるとトップは8分20秒前後で最初の周回を終えたらしく、すでに2分近く離されていることが分かりました。当日の最速タイムはU23カテゴリーのトップ選手が出した9分30秒前後なので、このレースの速さは異常なものでした。

どんどん迫る足切りライン。必至に食らいつくが、、、

3周目になると柔らかかった泥が固まり始め、よりシビアなバイクコントロールを求められる状態になってきました。
唯一乗車できる区間にある轍は数センチ、ラインを外してしまうと重い泥につかまり一瞬で前転してしまいます。

自転車に乗っている時間よりも担いでいる時間の方が長く感じられ、普段ならコントロールできるレベルであってもきつい担ぎを繰り返してきた体幹はもはや使い物になりませんでした。乗車中簡単に腰が砕けてしまい、普段乗り慣れている自転車が全く別の乗り物のように感じられるまでに過酷さを極めていました。

担ぎメインの森林区間、多くの選手が作った足跡をトレースして少しでも泥がまとわりつかないよう意識していきますが、進むだけでもきつい!

 

3回目のゴールゲートを通過、後ろを降り向くともう誰もいません。つまり、スタートからここまでの30分の間で、選手の半数以上がレースから降ろされたことになり、このラップが私の最終周回だということが分かりました。

「少しでも前へ!」と気持ちはありますが、身体が言うことを聞きません。

森林区間を終える頃にトップを争う沢田選手と織田選手の姿が後方に見え、自分のタイムリミットが迫っていることが分かりました。

なんとかホームストレートへ続く最後の舗装路を抜けていきますが、、、

 

前方に見えるスタッフが白い旗をあげ、コース外へ誘導する姿が見えました。

 

試合終了の合図でした。

全身から力が抜けたような、これまで張りつめていた気持ちが一気に途切れた感じがしました。
レース開始39分後、4回目のゴールゲートを通過できず、-3lapの33位という形で私の全日本選手権は終了しました。

完走率14.9%。これまでにない超過酷なレースとなった

レース後はコース脇に倒れ込み、起き上がることすらできない状態まで体力が消耗されていました。
力を出しきる前に身体がボロボロになったような表現しずらい感覚ですが、今まで感じたことのない疲労感でした。

結果、67人中10人のみが完走、完走率14.9%という近年稀に見る全日本選手権となりました。

今シーズンは全日本選手権を目標に、リザルト、ランキングを順調に上げていき、今まで以上にフィジカル面、テクニック面で成長できたと思いましたが、今回は超マッドなコンディションに対応しきれませんでした。

しかしながら、この難しいコンディションの中で機材と身体が無事に終える事ができたのはピットスタッフのおかげによることに間違いありません。
サポートメンバーの皆様、ありがとうございました。

全日本選手権は終わりましたが今シーズンはまだまだ続きます!
次回は年明け、東北蔵王シクロクロスに参戦予定。
引き続き応援よろしくお願いします。

レポート:船橋松が丘店 折橋