【MiNERVA-asahi】全日本自転車競技選手権大会マウンテンバイク・レースレポート

2021.11.29

第34回全日本自転車競技選手権大会 マウンテンバイク・クロスカントリー

11月21日(日)に愛媛県八幡浜市にある市民スポーツパークで行われた「第34回全日本自転車競技選手権大会マウンテンバイク・クロスカントリー(XCO)」に、あさひ公式レーシングチーム「MiNERVA-asahi」からも選手が参戦しました。

※自転車レース特有のルールや用語はこちらでご説明しています。

 

今回のレースに参戦した選手は下記となります。

●クロスカントリー(XCO)・男子エリート
(3.91km x 6周 = 23.46km)
折橋選手【船橋松が丘店勤務】

※出典:第34回全日本自転車競技選手権大会クロスカントリーパンフレットより

クロスカントリーの日本一を決定するレース

「全日本自転車競技選手権大会(以下、全日本)」その大会名からも分かる通り、自転車で行う各競技の日本一(ナショナルチャンピオン)を決定する大会です。今回はマウンテンバイクのクロスカントリーレース、通称XCO(クロスカントリーオリンピック)の日本一を決めるレースが行われました。

マウンテンバイクレースと一言で言っても、レースのコースや競技内容などによりXCO・XCM・XCE・XCC・DHIなどのように競技種目が分かれます。

今回、折橋選手は周回コースを決められた周回数を走り、最も早くゴールした選手が勝者となるクロスカントリーオリンピック(XCO)に出場しました。

マウンテンバイク・XCOの全日本も、他の自転車競技の全日本と同様にエントリーすれば誰でもが参加できると言うわけではありません。公益財団法人日本自転車競技連盟(JCF)が定めた参加資格をクリアしていないと参加する事ができません。

マウンテンバイク競技について

ここでは、まずマウンテンバイクの各競技について、少し説明します。

 

●XCO(クロスカントリーオリンピック)

周回コースを決められた周回数を走って競われます。陸上競技で言うマラソンをイメージしてもらえれば分かりやすいかと思います。全出場選手は一斉にスタートしゴールを目指します。競技時間は1時間30分から1時間45分と決められており、周回コースは1周が約4km〜6kmです。1周回に要するタイムから周回数が決められ、その周回数はレース前日に発表されます。

 

●XCE(クロスカントリーエリミネーター)

競技の距離は500m〜1kmと短いコースを使い、4名または6名の選手が一斉にスタートし、上位2名または3名が次のレースに進めるトーナメント形式で行われます。他の種目が主に自然の地形を使って競技が行われるのに対して、XCEでは人工の障害物がコース内に含まれます。競技の距離も短いため、市街地の公園などで開催されることもあり、観戦する側からも見やすくジャンプ台などの障害物も設置されて迫力のあるレースが展開されるので観る側からも人気の高い競技です。

 

●XCC(クロスカントリーショートトラック)

1周が2km以内のコースを20〜60分と短い競技時間で行われます。海外のワールドカップではXCOのスタート順(スタートラインに対してどの位置からスタートするか)を決めるためのレースとしても開催されています。

 

●DHI(ダウンヒル)

夏場のスキー場などで下りメインのコースを使い行われます。レースは1名づつスタートし、誰が最も短い時間でゴールできるかを競います。競技中のスピードは想像以上に早くコースの状況によっては最高速度が70km/hを超えることもあります。

 

●XCM(クロスカントリーマラソン)

60km〜120kmと非常に長い距離で行われる競技です。日本では長野県大滝村で行われているセルフディスカバリーアドベンチャーが有名です。

長距離を走り切る体力に合わせて、競技中のメカトラブルへの対応力なども求められる競技です。

※XCM競技では全日本選手権は開催されていません。

 

各種目で優勝した選手には、他の競技同様にナショナルチャンピオンジャージが与えられ、その種目の選手権を保持する間に出場する同一種目においては、このジャージを着用することができます。

「全日本チャンピオン」の座をかけた激しいレース。今回、MiNERVA-asahiから参戦した折橋選手のレースレポートを、ぜひご覧ください。

折橋選手【船橋松が丘店勤務】

●結果:男子エリート39位(-2lap)

自身2回目のMTB全日本選手権。ここ数年はシクロクロス競技に専念していたため、MTB競技は3年の間が空きました。

今年4月に兵庫県菖蒲谷で行われたレースのアドバンスクラス(最上位エリートカテゴリのひとつ下のクラス)で優勝し、エリートカテゴリに昇格、と同時に全日本への出走権も獲得しました。

3年前の全日本ではトップと同一周回の完走をしているため今回も完走を狙います。

しかし、かなり間が空きクロスカントリーの強度に体が対応しきれるかどうか未知数なので、今の実力を確認する意味でもエントリーしました。

開催地は愛媛県八幡浜。毎年、UCIの国際レースが開かれ歴史のある高難易度のコースです。

今回は車で千葉から16時間かけて会場に移動しました。レースの前日は試走をすませ、タイヤの空気圧等のセッティングを行い、明日の準備を終えてこの日は終了しました。

レース当日は朝から会場入り、14:00のレース開始1時間前からアップをし、スタートに備えます。

今回ゼッケン番号は56番、エリート昇格後レースに出ていないため、コールアップ(レース時点でのランキング順でゼッケン番号が決まり、ゼッケン番号順にスタート位置前方から並んでいきます)はエリートクラスの一番最後となります。

ただ、後ろには同時刻の出走で別カテゴリのアンダー23のクラスがあるのでそれに挟まれる形でのスタートとなりました。

最初の登りはとにかく全力で前へ。

力を使い切るつもりで突っ込んでもスタート直後のシングルトラックの下りは流れることはないので猛プッシュするが自分が思っているほど踏み倒せなくて、アンダー23の選手たちの圧に押される形となり位置をキープだけで精一杯でした。

今回のコースはスタート地点となるグランドを抜けると舗装路の上りがあり、そこから一気に細いシングルトラック区間に突入します。

シングルトラックではコース幅が狭く、前の選手を追い抜くことが難しくなり、先頭選手との差はどんどん開いていってしまいます。そのため、どの選手もスタート後は少しでも前方へ行きたいので、猛烈な位置どり合戦が繰り広げられます。

スタート直後は、バイクや体の接触は当たり前。タイヤ同士がハスる事もありますが、その程度で怒号が飛び交うほどではありません。ゴムの焦げる匂いが立ち込めるなか最初のシングルトラックへ突入していきます。

案の定シングルトラックの下りに差し掛かると、かなり詰まっており、時に降車をいれつつ、前へ上がっていきます。

最初のフィードゾーンを通過し、通称桜坂と呼ばれる直登区間での順位は40番手ほどでした。

中間地点を過ぎるまでに10名ほどを抜いたようでした。

1周回の完了時点でトップ通過から2:50秒が経過。

完走目的ならこのタイム差を残り4周回キープすることができれば完走できる計算になります。

数名の選手が周りにいるが前の選手は全く見えません。おそらく1分以上離れていると予測されます。

マウンテンバイクのクロスカントリー競技では、シクロクロスやロードと違いパックで強調して走るなどは基本通用しないため自分で上がっていきますが、上りの急坂区間でパスを交互に繰り返すような状態。

一旦ペースを保ち、体の反応を待つが回復の気配はありません。

下り区間も、ドロップオフや木の根の張り出すセクションに囲まれ、言葉通り休む区間がないためトラブルを起こさないように走るのが精一杯です。

2周、3周目も前を走るパック目指して走りますが光景は変わることがありません。

エネルギー補給のためフィードゾーンでドリンクを取ろうにも、体が強ばって手が伸ばせない。

簡単な行為なのだが一度上がりきった状態の強度から立て直すことができずに戸惑っていると、4周回完了手前でトップの選手から-2lapにて、80%ルール適用によりラップアウトとなりました。

完走には及ばず悔しい結果となりましたが、ひとまず現在の位置が確認でき、国内屈指の難コースのテクニカルセクションでも大きなトラブルに見舞われることなくクリアできたので、今回のような強度に身体を適応させていけば、さらに前で展開できそうな実感が得られました。

今年はMTBレースの開催が少ない年となってしまいましたが、来年以降は復活すると信じ、また良い位置でのレースができるよう走って行きたいと思います。

次はシクロクロスの全日本

今回、マウンテンバイクのクロスカントリー競技にて全日本に出場した折橋選手ですが、次は12月12日(日)に茨城県土浦市で開催される第27回全日本自転車競技大会シクロクロスへの出場が決まっています。

引き続き、皆様からの応援、声援をよろしくお願いいたします。