【MiNERVA-asahi】第27回全日本自転車競技選手権大会シクロクロス・レースレポート

2021.12.17

第27回全日本自転車競技選手権大会シクロクロス

12月12日(日)に茨城県土浦市にあるりんりんポート土浦/川口運動公園周辺特設コースで行われた「第27回全日本自転車競技選手権大会シクロクロス」に、あさひ公式レーシングチーム「MiNERVA-asahi」からも選手が参戦しました。

※自転車レース特有のルールや用語はこちらでご説明しています。

 

今回のレースに参戦した選手は下記となります。
●男子エリート(60分)
折橋選手【船橋松が丘店勤務】

※出典:2021全日本CX土浦実施要項20211203より

シクロクロスの日本一を決定するレース

「全日本自転車競技選手権大会(以下、全日本)」その大会名からも分かる通り、自転車で行う各競技の日本一(ナショナルチャンピオン)を決定する大会です。今回はシクロクロスレースの日本一を決めるレースが行われました。

シクロクロスの全日本も、他の自転車競技の全日本と同様にエントリーすれば誰でもが参加できると言うわけではありません。公益財団法人日本自転車競技連盟(JCF)が定めた参加資格をクリアしていないと参加する事ができません。

そして、各種目で優勝した選手には、他の競技同様にナショナルチャンピオンジャージが与えられ、その種目の選手権を保持する間に出場する同一種目においては、このジャージを着用することができます。

「全日本チャンピオン」の座をかけた激しいレース。今回、MiNERVA-asahiから参戦した折橋選手のレースレポートを、ぜひご覧ください。

シクロクロス競技について

折橋選手のレースレポートの前に、少しシクロクロス競技について説明します。

シクロクロス競技とは元々ロードレース選手が冬場のオフシーズン中のトレーニングとして始められました。その為か、シクロクロスの自転車にはドロップハンドルが使われていて、一見するとロードバイクと変わりがなさそうに見えますが、細部で競技特性に合わせて異なります。

まず大きく違うのはタイヤですね。シクロクロスのコースは芝の上や土、時には泥などの未舗装路を走ります。なのでタイヤにはマウンテンバイクのようなブロックが付いたタイヤを使用します。そのタイヤ幅はレースの場合、UCIの規定により33mm以内と定められています。ロードだとタイヤの空気圧は低くても6気圧を下回ることはありませんが、シクロクロスのレースでは路面からの衝撃吸収性能の向上と路面とのグリップ力を増やすために2気圧以下で走ります。これだけ低い空気圧だとWOタイヤだとリム打ちパンクしてしまう可能性が大きくなるので、しなやかで乗り心地も良いチューブラーやチューブレスタイヤが使われることが多いです。

フレームの形状はロードとシクロクロスで大きくは変わりませんが、ジオメトリーと言われる細かな寸法は異なります。不整地を走行することを前提としているので、安定性を重視してホイールベースは長めに設計されでいます。ハンドルポジションもロードほど空力を意識しないのでアップライトにセッティングされる場合が多いです。また、泥などの影響を受けにくくするように変速機などのワイヤー類は全てフレームの上側を通すトップルーティングが採用されています。カーボンフレームも増えたので、今ではワイヤー類はフレーム内を通すタイプがほとんどですが。

ブレーキは主流はロードと同じくDISCブレーキが多く使われます。泥などの影響を受けず安定した制動力が得られますからね!DISCブレーキが主流となる以前はシクロクロスにはカンチブレーキやVタイプのブレーキが多く使われていました。これはロードバイクに使われているようなキャリパーブレーキだとタイヤとブレーキに隙間が狭く泥がつまってしまい走行抵抗が増え、時には乗車できなくなってしまうほどてす。

DISCブレーキを使っている場合でも泥づまりを避ける為タイヤとフレームのクリアランスもロードに比べて広めになっています。

続いて競技自体についてですが、シクロクロスレースでは事前に周回数が決まっていません。予め決まっているのは競技時間のみ。今回、折橋選手が出場した男子エリートクラスだと60分間でした。レースがスタートしてトップ選手の1周目のラップタイムにより60分間で何周できるかを計算し周回数がレーススタート後に決定されます。競技中のピットエリアでのバイクチェンジ(機材交換)も認められており、泥が付着して重くなったりパンクのどの機材トラブルがあった場合は素早くスペアバイクに乗り換えて競技を継続します。ピットでのサポートスタッフとの連携や選手が乗り換えて置いていったバイクをピットでは素早く洗車し泥を落として次の周回で再びバイクチェンジしたりと走っている選手だけでなくピットの作業を観戦するのもシクロクロスの楽しみ方。ぜひ、シクロクロスのレース会場に行かれる方は、そんな事にも気にしながら観戦してみてください。

シクロクロスのコースも特徴的です。ただ不整地を自転車で走るだけではなく、コース中に自転車を降りて飛び越えないといけないシケインと呼ばれる障害物などが設定されています。多くの選手はシケインの手前で自転車を飛び降り、バイクを持ち上げてシケインを跨ぎ、そしてまたバイクに飛び乗って走り出します。選手によっては自転車に乗ったままジャンプしてシケインを飛び越える選手もいます。

いかがでしょうか?特徴的な部分だけですがシクロクロス競技について書いてみました。非常にレースの見どころも多くコースもコンパクトな周回コースが設定される為、レースを走るだけでなく観戦するレースとしてヨーロッパを中心に人気が高く、日本でも年々レースを観にくるファンが増えています。今回の全日本レースの会場も土浦駅から非常に近い場所だった事もあり、非常に多くのファンが応援に来られていました。

まだまだ、これからの冬場にシクロクロスのレースは開催されますので、ぜひ間近で観たことがない方はレース会場に足を運んで観戦してみてください。コースと観戦者の距離の近さもシクロクロスの魅力のひとつだと思います。

折橋選手【船橋松が丘店勤務】

男子エリート34位(-2lap)

二度目の出場となるシクロクロスの全日本選手権。

開催地が土浦りんりんポートと、いうこともあり観客は非常に多く、隣接する陸上競技場周辺を使うアウトフィールド、中央の芝生の公園を使ったインフィールドと、コースはコンパクトにまとまっており、観戦する側としては非常に見やすいレイアウトだったと思います。

会場こそ違いますが、2020シーズンの茨城シクロクロスのC1にて表彰台にあがった経験もあり、相性も良いコースです。

今シーズンのシクロクロスレース参戦歴はJCX幕張だけとなります。

今年は高強度下での運動、出走レース数自体共に少なく、まだ勘も取り戻せてない状態でのスタートではありますが、去年の飯山と比べればコースは自分向きであるし、メカニックスタッフ帯同のため機材の不安要素はゼロでした。

前日の試走の段階では、ぬかるんでいた路面もレース当日には乾き、タイヤの空気圧はフロントが1.80bar、リア1.85barに設定し、今までつけてこなかったフロントのチェーンリングからチェーンが落ちることを防ぐ為のチェーンキャッチャーも装備して高速レースに備えます。

今シーズンは幕張クロス、MTB全日本共にスタート位置から、ほぼぼぼ前に出れず終わってしまっていたため、今の位置よりさらに順位を上げて走り切ることが目標でした。

折橋選手が出場した「幕張クロス2021」と「MTB全日本」のレースレポートは下記をご参照ください。

【MiNERVA-asahi】JCX series 第2戦 幕張クロス2021・レースレポート

【MiNERVA-asahi】全日本自転車競技選手権大会マウンテンバイク・レースレポート

ゼッケン番号は59番。スタート位置は7列目からとなります。

スタート直後はクリートキャッチも上手くいき大きな落車もありませんでした。

競技場からのスタートループは接触の連発だが、多少なりともアグレッシブに行かないと前に出れず埋もれて終わってしまうため早めに前に出ます。

心拍の上がりものかかりもよく、ホームストレートを終え第一コーナーを曲がった時点では10数名くらいをパスしました。

芝生メインのインフィールド区間では、あちこちに轍ができているが、走りやすい轍はみんな通りたがるため一周回目は渋滞も起きやすくなります。多少ラインを外し空いている空間にねじ込んでいきます。もちろん抵抗は増えますが、前へ出るため必要なパワーは使うしかありません。

59番スタートから順位にして30番中頃、ひとまずスタートは成功したと言っても良いですが、まだまだ前にいかなければ全日本では完走できません。

さらに前をいくパックとは10秒差ほど、早めに追いつくのが一番だがコース終盤のキャンバー区間にてミスしてしまい、前との差がかなり空いてしまいました。

ペダルを踏める区間は全て踏み、なんとか追いつきますが脚はかなり消耗…。

前との10秒の差は保ったまま推移していきますが、何名かの選手に先行され、自分の後ろの選手はかなり切れている状況でした。

のある選手は、まだ後ろにいると思っていましたが意外にもほぼ切れかかっていたようです。

ほぼ単独走行になり、すぐに追い上げるのは、なかなか厳しくなってきます。

なんとかペースを保ったまま周回を重ね時間にして30分付近、5周回が完了した時点で先頭から2分50秒差とMCの声が聞こえました。

トップ選手のラップタイムは6分00〜6分10秒、私は6分25〜6分35秒のペースなので一周当たり30秒近くのビハインドになります。

レース半分時点にしてトップから遅れること50%前後の計算になります。ギリギリではあるが諦めてはいません。ある程度、周回を重ねると前の選手が苦手とするポイントもわかり始めてきます。

前を走るパックにはJPT(ロードレースのプロクラス)の選手が数名、舗装路に出た瞬間の加速が尋常ではありません。

インフィールドをミスなく走れれば私にある程度分があるようですが、そこで短縮できた差をあっけなく競技場脇の舗装路で帳消しにされる展開が続きます。

無理をしてでも序盤の10秒差を詰めて、彼らの前に出ていれば、と思います。

しかし、単純に脚を使えば前には出られますが、使いすぎてその先でミスをしたらパスをした時以上に脚を使わなければレースは終わってしまいます。「コース幅も狭いため、どこで前に出ておくか?」という戦略も大事な要素となってきます。

前を追いますが腰も痛くなり始め、轍をトレースしなければいけない区間で、繊細なコントロールがし辛くなり、なんてことないコーナーで差が開いてしまいます。ほんの数メートルだが芝の路面抵抗が非常に重たく感じられ、前走者との差をなかなか詰めることができません。前を走っているのはXCOベテラン選手。

MTB全日本でも一桁フィニッシュするような選手なので彼に先行されている時点で、テクニック、パワー、持久力以外で強みがないと差を詰めることができません。

JPTの選手やクロカンエリート上位勢がいる中で私の強みとは何かを考えます。

7周回目、先程のパックから何名か遅れはじめ、まだ追いつける距離にいるので、せめてそこへ合流したいが身体は限界でした。

8週回目の終盤にあるキャンバーで先頭がミスをしているのがわかり、追いつけるチャンスでしたが、私がキャンバーを登っていた最中に左脹脛が完全に攣ってしまいました。

その後はペダルを回せず、これでは前を追えません。

競技場脇の単調なコースで、回復を待っている間に後ろの選手に抜かれ、そのタイミングで踏み直すが攣った脚では距離は詰まりません。

そのまま9週目に入る手前で、80%ルールの笛がなり、ラップアウトとなりました。

もう一周回走るのには、あと数秒が足りず、あと3人抜かせていたら全日本完走が出来た結果となりました。

競技時間は52分14秒。トップからは-2lapの34位でした(30名完走)。

悔しい結果ですが、今の全力を出しきれたので、スッキリしています。

久々にレース中に追い上げることが出来、どうすれば前へいけるかを錯誤しながら終始展開できたので結果的に楽しむことができました。

去年の全日本と比べれば順位こそ変わりませんが、調子と内容は上向きです。

MTB、CXともに全日本が終わり、今年のレースは終了となります。

十分な準備を積み、また来年も挑戦できればと思います。応援、サポートありがとうございました。

今シーズンのレーススケジュールが終了

今回のシクロクロス全日本をもって、今シーズン予定されていたMiNERVA-asahiのレーススケジュールが終了となりました。

レース会場などでたくさんのご声援いただいた方々、それ以外にも多くのご協力をいただきました関係者にも、この場を借りて改めて御礼申し上げます。本当にありがとうございました。

来シーズンのチームメンバーやレーススケジュールなどは決定したら、改めてご連絡いたしますので、それまでお待ちください。

MiNERVA-asahiは、来シーズンも更なる高みを目指して全力でペダルを漕いでいきますので、引き続き、皆様からの応援、声援をよろしくお願いいたします。