ちょっと待って!セラミックベアリングを導入する前に考えること

2016.08.25

ハブに使われているベアリングのサイズは主に3タイプ

ハブに使われているベアリングにはいくつか種類があるのをご存知でしょうか。
大まかに分けてよく使われるのは3種類です。

・5/32(3.96875mm)

・3/16(4.7625mm)

・1/4(6.35mm)

この大きさは、1インチに対しての大きさを示すものです。

なぜベアリングサイズが違うのか?

ここで、様々なホイールに使われているベアリングを見ていくと、その設計理由が見えてきます。
今回はシマノだけですが、グレードごとに見ていきましょう。

リムがディープかどうか、クリンチャーかチューブラーであるかは、ベアリングの差としてはないようです。
マウンテンバイクの場合、XTRは前後5/32サイズで、29インチも変わらずでした。

ハイエンドモデルの方が小さいベアリングを使っている傾向があるのはわかります。
(例外として、MT15は5/32を使っている)

この理由には、ベアリングは大きい方が回転が少ないので耐久性があがる。
反面、小さいと軽量化できるが耐久性が下がる、ということになります。

その対策として、シマノでは材質を変えることで解決させています。

例えばMT15がM9000のベアリングとサイズが同じ場合でも、ベアリングやカップ&コーンが同じとは限りません。
規格は同じでも材質や強度が異なっており、各グレードの使用用途により最適化させているのです。

WH-9000のベアリングでは、スチールからステンレス製のベアリングにすることで強度を確保しています。

ただ、ほとんどのホイールは、
フロント 3/16インチ(4.76mm)
リア 1/4インチ(6.35mm)
が使われていることが多いです。

フロントはリアよりも力がかかりにくく、いろんなグレードのホイールに採用しやすい組み合わせであることが予想できます。
シマノ以外のブランドやスポーツ車以外のモデル(シティサイクルや小径車など幅広い車種)でこの組み合わせです。

シマノはカップ&コーンで派手さはなくても、想定した乗り方に合わせて細かくベアリングのサイズや材質を決定しているようです。

 

ベアリングだけ替えるとどんなことが起こる?

シマノの設計思想として、部材による硬さを微妙に変えています。
硬い順に書くと
1.玉受け(カップ)

2.玉押し(コーン)

3.玉(ベアリング)

  となっており、一番高額なカップが硬く、補修の利く部材ほど比較して柔らかく、先に傷がついて全体の破損を防ぎます。

そういった理由もあり、いたずらにこのベアリングの材質を変えることはおすすめしません。

さて本題ですが、巷では、セラミックベアリングに換装するチューンもありますが、軽量化や回転性能!?と引き換えに、様々なリスクもはらんでいます。
シマノの使用想定と異なるため、シマノハブの場合、本体寿命を縮める可能性は高くなります。

当店でもセラミックベアリングはよく売れていますが、使用するところは考えていかないといけません。

 

シーマ
セラミックボール サイズ:5/32インチ 10個入り セラミックベアリング G5等級相当
詳細はこちら
シーマ
セラミックボール サイズ:1/4インチ 10個入り セラミックベアリング G5等級相当
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シーマ
セラミックボール サイズ:3/16インチ 10個入り セラミックベアリング G5等級相当
詳細はこちら

ノーマルホイールに(ほぼ)グリスなしでセラミックインストールしてみた

金属より軽量化は可能ですが、もし運用する場合、セラミックを想定したハブ以外はグリスを普段より多めに入れて運用する必要がありそうです。

試しにほとんどグリスなしで1か月間使用したら・・・


玉受け(カップ)は無傷です。


玉(ベアリング)も無傷です。

 
玉押し(コーン)は少し虫食いが発生してしまっています。
傷のつきはじめる順序が変わってますね。

 

玉押しを一切の虫食いを発生させずに使い続けることは難しいですが、1か月でこの状態は少し早い感じはします。

 

まとめ

ベアリングをセラミックに替えれば、「回転性能は上がる≒速度が上がる」と思いがちですが、ハブは部材により硬さを変えています。ノーマルベアリングのホイールに単純に交換では、効果を発揮しないばかりか、ハブを破損し、最悪は内部で破損を起こし、事故のリスクすら発生させます。

 

いろいろ試した結果、グリス(シマノグリス)が1g以上入っていれば、2年間ほぼ毎日走行して問題なく使用できましたが、グリスなしでの運用は短期間にした方がいいでしょう。

 

しかしここで新たな疑問。
今度はグリスをたくさん入れてまでセラミックベアリングにする必要はあるのか?という問題にぶち当たります。

 

詳しくは

ロードバイクにセラミックベアリングは必要?セラミックベアリングとグリスについて

TEXT:toby