105ユーザー必読! リアディレーラーのプーリー交換をちょっとまじめに考えてみる 

2018.03.20

セラミックベアリングプーリーに交換してみた

今回、シマノデュラエース(RD-7800)のプーリーとLiike-PUL-C Ceramic bearing セラミックベアリングを交換してみました。必要工具は六角レンチのみ!(この変速機では3mmのレンチを使用しました)

イルミック[ILMIK]
Liike-PUL-C Ceramic bearing セラミックベアリング
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テンションプーリー、ガイドプーリー、及び回転方向に指定はありません。


ディレーラー及びチェーンをつけたまま、10分程度で簡単に交換できてしまい、非常にお手軽です。

 

実際の重量こそ2g増しましたが、回転性能はより滑らか&スムーズになり感触はいいです。



アルミボディとシールドベアリングのため耐久性も期待できそうです。
ただ、変速性能や、ぺダリングした時の違いは、デュラエースからの交換というのもあり、私では体感はできませんでした。

デュラエースグレードのプーリーはここがすごい

今回デュラエースグレードのプーリーを観察し、その精密さに今更ながら感心してしまいました。
その特徴とは

ガイドプーリーとテンションプーリーに使われている、プーリーの末端処理が違う

デュラエースグレードは、テンションプーリーの回転方向に決まりがあります。
チェーンとの抵抗を減らしつつ、ガイドするために必要な処理となっています。

テンション、ガイドで使われているベアリングの種類が異なる

ちなみに、Liike-PUL-C Ceramic bearing セラミックベアリングは、テンション、ガイド共にNBK製セラミックボールベアリングの同じものが採用されています。

デュラエース(写真はRD-7800のもの)は、使われているベアリングも異なります。
シールの材質も違います。それは求められることが違うから。

  
ガイドプーリーは変速した際に、より素早くチェーンを馴染みやすくする機能、
テンションプーリーはチェーンとの抵抗を抑えつつ、暴れないように適正な力をかける機能。

 

ガイドプーリーに秘密がある
また、シマノとカンパニョーロだけガイドプーリーに「ガタ」が設けられており、0.7mmずつスライド(フリクション)する仕組みとなっています。

この構造にする理由とは、勢いよく変速した場合でも、ローギア、トップギアから問わずより素早くチェーンと馴染ませ、
変速性能向上、チェーンやディレーラー本体、プーリーへのダメージ軽減、ギア鳴りを防ぐためなどに採用されています。

回転を(ベアリング付)ブッシュにしないといけないため、単純に回転の軽さという意味ではスライド(フリクション)しないタイプのプーリーより劣ってしまうのは仕方のないことなのです。
 

逆を言えば、巷に溢れる回転の軽さを謳ったディレーラープーリー達はスライド(フリクション)機構がないのです。

このスライド(フリクション)機構は、理論的にはなんとなく理解できても、実際には体感できる人、できない人がいると思います。
私は後者の方。
シマノの製品は、様々な人が快適に、永く、ストレスなく使えるモノづくりをしています。
プーリーはどちらがいいのではなく、シマノのそういった考え方と、自分の優先すべきことを天秤にかけて、どちらをとるかでお決めいただければと思います。

今回プーリー交換で、変速性能や機能に不満はありませんでしたが、別のモデルにインストールした方が効果が体感できる可能性が高いと判断し、純正ではベアリングを採用していないリアディレーラーと交換することにしました。

リアディレーラーに採用されているプーリーはざっくり2タイプあるのをご存知でしょうか?

 

 

デュラエースなどに採用されているベアリングプーリーと、シマノの大部分のリアディレーラーに採用されるブッシュプーリー。
表にするとこんな感じです。

ディレーラー

採用ベアリングタイプ

ロード系  
CLARIS(RD-2400など) ガイド、テンション:ブッシュタイプ 
SORA(RD-3500など) ガイド、テンション:ブッシュタイプ
TIAGRA(RD-4700など)  ガイド、テンション:ブッシュタイプ
105(RD-5800など) ガイド、テンション:ブッシュタイプ
ULTEGRA(RD-6800など) ガイド、テンション:シールドベアリング
※これより古いモデルでは、ガイドだけセラミックブッシュが使われていたりします。
DURAACE(RD-9000など)  ガイド、テンション:シールドベアリング
マウンテンバイク系  
ALTUS(RD-M370など)  ガイド、テンション:ブッシュタイプ
ACERA(RD-T3000など) ガイド、テンション:ブッシュタイプ
ALVIO(RD-M4000など)  ガイド、テンション:ブッシュタイプ
DEORE(RD-M615など) ガイド、テンション:ブッシュタイプ
ZEE(RD-M640など) ガイド、テンション:ブッシュタイプ
SLX(RD-M675など) ガイド、テンション:ブッシュタイプ
DEORE XT(RD-M8000など)  ガイド、テンション:シールドベアリングタイプ
SAINT(RD-M820など) ガイドプーリー:ブッシュタイプ テンションプーリー:シールドベアリング
XTR(RD-M9000など) ガイド、テンション:シールドベアリングタイプ

 

そもそもブッシュタイプはこんな構造です。


真ん中に中空の円柱が入っており、それを左右から固定して回転させます。
画像の通り、面接触ベアリングなので「球」としてのベアリングはありません。

交換したのはDEORE(RD-M510)のプーリー。元々はガイド、テンション共にブッシュタイプです。


明らかに逆回転した時の抵抗が減り、ここまでプーリーに抵抗があったのか!と驚きました。
走行時のメカニカルノイズが減り、とにかく走ってて気持ちがいい!
同条件で計測しにくく、真実はわかりませんが、体感的には速度アップもしている!と感じさせてくれます。
それほどまでに違いを感じました。

ブッシュタイプのプーリー交換においては、特に即効性のあるカスタムであると感じました。

105(RD-5800)などお使いの方で、現状に不満はないけどちょっとグレードアップを試してみたいという方には特におすすめです。
もし先述のスライド(フリクション)機構を潰すのは・・・という方は、ガイドプーリーをベアリング式の純正にし、テンションプーリーだけこのプーリーに交換するのも
効果があります。
そうしたら、1つで2台の自転車に使える訳ですし。

小さいながらもキラリと光るパーツ。いい意味で期待を裏切られるはずです。