ビッグプーリーをインストールする上で知っておきたい9のメリットとデメリット

2018.05.18

話題のビッグプーリー

チェーンの流れをスムーズに、パワーの伝達効率がアップすると巷で話題のビッグプーリー。

当店でもいくつかラインアップしています。

 

ビッグプーリー製品一覧

 

数年前であれば、プーリーだけセラミックベアリング式のものに交換し、回転抵抗を減らすというのが主流でしたが、近年はプーリーケージごと変えるというのが多くなっています。

トップアマチュアや国内のプロロードレースなど様々なレースシーンでも見かけることが多くなり、気になっている方も多いと思います。

 

さらに最近、シマノ105(R7000)専用モデルもラインナップに加わり、ビッグプーリーへの敷居が下がりました。

R7000ラインナップ

しかし、そもそもの話としてプーリーを大きくさせるメリット、デメリットをご存じですか?

ビッグプーリーのメリット

一般的にですが、以下のようなことが挙げられます。

 

■メリット

  • ・プーリーの回転数が減り、ベアリング抵抗が減る
  • ・プーリーを通るチェーンのカーブ曲線が緩やかになる
    →チェーンの摩擦抵抗が減る
  • ・アウター×ローが使いやすくなる
    →通常ならばフロントインナーへシフトダウンしていたところでもアウターのままでの踏ん張れる
  • ・シフトチェンジ回数を減らす事が可能
    →ライダーの負担軽減と時間短縮
  • ・かっこいい(?)

 プーリーの大きさとガイドプレート比較

 

ビッグプーリーのデメリット

■デメリット

  • ・変速性能が落ちる(?)
  • ・ディレーラーケージを分解しないといけない
  • ・後輪を外す際に抵抗になる
  • ・高い

分解は簡単ではなく、破損や事故の恐れがあるため、販売店や専門店で行ってください。

カーボンドライジャパン様では発送料の負担のみの、工賃無料で組み替え作業をしていただけます(一般ユーザー様のみ)
ご自身での組み付けの場合、保証対象外となることがあるため、ご不安な場合は是非ご利用ください。
(2019年12月現在。サービスは予告なく変更となる場合がございます。)

何でもそうですが、このメリット、デメリットを天秤にかける必要が出てくるわけです。 

その中でもビッグプーリーは特に競技色が強いパーツなので、向いている人、向いていない人もはっきり分かれます。

それでもビッグプーリーをインストールした方がいい人とは?

■向いている方

    • ・特にローギアを多用する方
    • ・フロントインナーに落としている時間すら節約する必要のあるシビアレースに参戦の方
    • ・自分を磨き、機材も完璧にセッティングされている方
    • ・1分1秒を気にする方

 

■向いていない方

  • ・上記のシチュエーション、機材で使わない方

自分を磨かずに、機材を換えて楽をしようと考えているならば、コストパフォーマンスは悪いです。
その分を基本のチェーン交換もしくは清掃、注油などのメンテナンスにつぎこんだ方がより効果としては体感できるはずです。

実際変速性能は落ちるの?

変速性能は各社によって違いがありますが、おおむね性能はポン付けただけでは純正よりは落ちると考えた方がいいです。
特にトルクをかけて変速するシチュエーションなどでは数十回に一度、落ちすぎてしまったりすることがあります。

シマノで今の所ビッグプーリーを出さない理由としては、上記の事が一番に挙げられるのでしょう。
公式な見解はありませんが、シマノは万人が調整して同じ性能が出ることを目的としており、何かを犠牲にして特化させるものはあまり作らないメーカーです。(だからこそ誰もが安心して使える訳ですね)

 

しかし、変速性能は、ポン付だけでなく、付けた後も改めて変速調整をすることで、ほとんど変わらなくすることは可能です。

事実、私はカーボンドライジャパン ビッグプーリーシリーズ を装着しておりますが、ガイドプーリー側を11Tのままにしてあるおかげで、変速性能では少しだけの調整でほぼ純正に近い変速性能に仕上げることができました。

まぁ、そうでなければプロやハイアマチュアが手を出すはずがありませんからね。
周りの使っているスタッフも、変速性能は純正と変わらないと言ってもいいレベルにあると断言しています。

 

 さらに、私の付けているV2から、V3タイプに進化し、変速性能、抵抗低減、静粛性が上がったようです。

CDJビッグプーリーを装着してみる

プーリーケージの交換は販売店、専門店にお任せいただくのが一番ですが、構造をご参考までにご紹介します。

1.プレートユニットを取り外すために、純正プーリーを取り外しします。

純正プーリーを取り外しできました。

 

2.プレートユニットとディレーラー本体を固定しているボルトを緩めます。

半時計周りに緩めていくと外れます。

 

3.テンションスプリングを取り外します。

4.テンションスプリングを、新たに取付するプレートユニットに取り付けします。

この時、取り付けするための穴がいくつか空いおり、そこでチェーンのテンション調整をします。
純正と同じ位置になるように取付します。(各メーカーの説明書をご参照ください。)

※この他にも、金属カラー(ワッシャーのようなもの)なども向きが決まっています。
取り外した時と同じ向きで組み付けてください。

画像ではテンションスプリングをプレートユニットに取り付けしていますが、実際にはディレーラー本体側に入れて組み付けしています。


グリスを付けて組み付けします。

5.プレートユニットを取り付け、アクスルボルトを取り付けします。

テンションをかけつつ、無理に押し込まないように作業します。
テンションスプリングがディレーラー本体の固定穴から外れないように注意します。

6.プーリーをはめて組み付け完了

7.チェーン調整
さて、交換が終了したら、プーリーが大きくなる分チェーンの調整(交換)が必要になってきます。

なお、105(R7000)専用モデルのみ、最初からディレーラーがセットされたラインナップもあります。

ビッグプーリーのチェーン調整はどうするのが正解?

純正状態では、リアの最大歯数が28T以上、又はフロントトリプルはチェーンを最大スプロケットと最大チェーンリングにかけてプラス2リンクでセットします。
R9100などのシャドーディレーラーではチェーンを最大スプロケットと最大チェーンリングにかけ、チェーンに1から3リンクを加えた長さにセットします。

 

実際には、純正の合わせ方でも大きな問題はでなさそうですが、さらに一コマ分(3リンク)加えて調整しました。

止まった状態での変速は問題なしですが、よりシビアにディレーラーの位置を調整しました。

手でクランクを逆回転させると抵抗が減っているのがよくわかります。

後は50km走行して、各部緩みが無いかを確認します。

 

まとめ

ビッグプーリーはレース機材なので、世に出回る超軽量を謳うパーツと同じように、取扱いやインストールする際は、目的にきちんと合致しているのか、慎重に判断する必要があります。

しかし、装着した際の、特にヒルクライムでの軽さは、ちょっと大げさに言えば、自転車の新しい可能性を広げてくれるなと感じたのも事実です。

「のんびり気ままに、ゆっくり走る」であればギアを落とせばいいので事足りますが、レースではスプリント中など、変速する時間すら惜しい時があります。

事実、トップアマチュアや国内のプロロードレースで選手機材を見ていても、多くの選手がビッグプーリー化させており、「変速性能を限りなく純正に近づける努力」と「効果」を天秤にかけて、「効果」に重きを置いているという訳です。

上記に記載した、「向いている方」に該当するまだの方は、一度インストールしてみると、効果を体感でき、手放せなくなるはずです。

 

また、最後にビッグプーリーをインストールしたら、併せてチューニングオイルも用意しておくことをおすすめします。

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CDJ チューニングオイル 容量:15ml
詳細はこちら

条件は異なりますが、効果がわかりやすいように実験してみました。
非常になめらかなのに効果が高い。

CDJ(カーボンドライジャパン )チューニングオイル実験 その1

CDJ(カーボンドライジャパン )チューニングオイル実験 その2

 

TEXT:toby