そのクロスバイクを買う前に。ちょっと冒険する選択肢のご検討も!

2018.11.03

自転車ごとの得意、不得意

初めて、又は2台めの自転車選び。

 
自転車にはそれぞれ当然ながら得意、不得意があり、予算や自分の使用目的に合わせて車種を選ぶことになります。
一般的な話として
 

マウンテンバイク

未舗装路を走ることを目的に作られ、当然走破性は高いながらも、スピードは出にくい。
 

ロードバイク(タイヤ幅28c以下のクロスバイク)

舗装路でのスピード感、爽快さはピカイチだけど、段差や荒れたアスファルトが多いと疲れる。また、雨の日にも弱く、ラフな使い方はしにくい。
 

クロスバイク(タイヤ幅32c以上)

舗装路での段差や荒れた路面でも乗りやすい反面、ロードバイク程の爽快感は感じにくい。
 
2台目として選ぶならば、ある程度自分の使用目的などが明確になっていて、欲しい車種は絞られてくるかと思います。
 
しかし、初めての1台となると、ここで一番汎用性の高い32c以上のクロスバイクというのが、無難な選択です。
 
だからこそ、最初の一台は「クロスバイク」というケースが多いのですが、ここは敢えて冒険したチョイスをすることで、もしかしたらその後の自転車をさらに楽しく、有意義にしてくれるかもしれません!?
 

冒険する自転車って?

本当は用途ごとに何台も買えるのが理想です。
しかし、経済的、又は場所などの物理的な問題、配偶者の理解などで難しいというのがほとんどだと思います。
 
 
いかに1台でいろんなアソビができるか?そこに興味がある方なら、一台で、マウンテンバイク、ロードバイクの楽しさを比較的高い次元で適えてくれる自転車があります。
 
 
ここで、「高次元」という言葉を出したのは、あくまで高次元であって、本来のガチな乗り方をするならば、ロードバイクにもマウンテンバイクの代替にもならないという意味です。

ロードバイクでレースに出たい、高低差のある未舗装路を一日中走り回りたい場合は「使いたいことが決まっている」方なのでこれからご紹介する自転車は選ばない方がいいでしょう。

 
この辺りは、クロスバイクと同じですね。
クロスバイクは、どちらの使い方もガチでしにくい反面、安価で、種類が多いというメリットがあります。
 
 
 
今回ご紹介する自転車とクロスバイクの違う点は、マウンテンバイクでもロードバイクでもしにくい、未舗装路を使ったロングツーリングができる点でしょうか。
 
 
巷ではグラベルロードやらアドベンチャーバイクと呼ばれるカテゴリーの自転車です。

冒険する自転車 おすすめ2選+1

1台目は、シクロクロスという競技向けの自転車をベースに、街乗りからロングツーリングまで対応するあさひ限定バイクです。
シクロクロス競技
ほとんどにおいて、5kmに満たない、未舗装路の障害物含む周回コースを走行する自転車競技。階段や障害物があるため、バイクの担ぎやすさも重要です。
 
 
 
今回ご紹介するバイクの特徴は、何と言ってもフロントシングルに11速の組み合わせで、トラブルを軽減しつつ、どんなところも走れてしまう懐の広さかと思います。 ギアがMTBと同じような11‐42Tとなっており、登坂にも強いギア設定です。
 
 
 
もちろん、ベースがシクロクロスなので、シクロクロスレースでも即実践投入可能です。
シクロクロスとグラベルロードは、厳密にはジオメトリなどでの味付けが異なりますが、オフもオンも、はたまたロードバイク的な乗り方もできるので、初めてのスポーツバイクで、どんな乗り方をしたいかわからない・・・という方も、一台で何役にもなるマルチな相棒になってくれるはずです。
 
MERIDA
ROAD TOURER (ロードツアラー)
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2台目は、タイヤを細くすればロードバイクとして、また太くすれば未舗装路も走れる、シチュエーションを選ばない自由なクロモリオールテラインロード。 全地形対応した、シクロクロスバイクと同じ考え方の自転車ですね。
 
値段は大きく変わりませんが、私はこちらをチョイス。 選んだ最大の理由は、COLUMBUS THRONスチールフレームを使っているからです。やはり旅での信頼性という点では、重くても耐久性のあるスチールです。(主観です。) アメリカのトレンドでも、タフさからクロモリが用いられるケースは多いようです。
 
THRONはCOLUMBUSチューブの中では、そこまで軽量な部類ではありませんが剛性が高く、ロングライドベースとしては最適でしょう。
 
 
どちらを選ぶかは完全に好みですが、ジオメトリを見ると、自転車の性格が少しだけ見えてきます。
louisgarneau
2016 LGS-HST2 700c クロモリフレーム
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最後のプラス1、ガチで冒険もできる自転車。 前に挙げたモデルとの違いは、一言でより太いタイヤ(48c))を履かせられ、多数のダボにより、より拡張性を持たせています。 

キャリアはもちろんのこと、ボトルケージ台座も多数装備。

河川敷ダートやアスファルトの不整地はもちろんのこと、ここイケるの?というような未舗装路も進んでいける。 かと言って、舗装路も遅くない。よりアドベンチャーにふさわしいモデルなのです。   

これ見るとよりグラベル、アドベンチャーバイクの特徴がわかるかと思います。

JAMIS
RENEGADE EXILE SORA (レネゲイドエグザイル ソラ) 
詳細はこちら

シクロクロスベース?ロングライドロードベース?

ロードツアラー        
サイズ 470mm 500mm
B:トップチューブ 510mm 525mm
D:ヘッドチューブ 110mm 130mm
E:シートアングル 75° 75°
F:ヘッドアングル 70° 70.5°
G:BBドロップ 65mm 65mm
K:ホイールベース 1005mm 1017mm
C:リアセンター 425mm 425mm
M:リーチ 370mm 379mm
L:スタック 510mm 512mm
J:スタンドオーバーハイト 740mm 764mm
適正身長目安 160~170cm 165~175cm
     
HSTシリーズ HTS-2      
サイズ 430mm 470mm 510mm 550mm
B:トップチューブ 515.5mm 525mm 540mm 547mm
D:ヘッドチューブ 110mm 110mm 130mm 130mm
E:シートアングル 75° 75° 74° 74°
F:ヘッドアングル 70° 71° 72° 72°
G:BBドロップ 70mm 70mm 70mm 70mm
K:ホイールベース 1000mm 1001mm 998mm 1013mm
C:リアセンター 418mm 418mm 418mm 418mm
M:リーチ 374mm 382mm 381mm 396mm
L:スタック 528mm 532mm 554mm 554mm
J:スタンドオーバーハイト 692mm 725mm 760mm 789mm
適正身長目安 155 ~170cm 165 ~180cm 175 ~190cm 185 ~200cm
両車の乗り味はフォークのオフセット、トレール値などでも大きく異なるため、あくまで共通項として提示できる数値の中でのお話なのですが、大きく違うのはBBドロップとリアセンター。

 
BBドロップは、ホイールの前後ハブ軸に仮想のラインを引き、そこからのBBの高低差を表した数値です。
一般的に数値が低い方が「かかりがよい」=反応がよくなる傾向にあります。
逆に大きい方が重心が低くなり、安定性が向上する傾向にあります。
また車重自体を低重心にでき、空力にも影響を与えます。

 
リアセンターはBBから後輪ハブ軸までの距離で、短いと踏んだ時のダイレクト感が生まれる傾向にあり、ロードバイクは極力短く、ギリギリに設定されることが多いです。その分、クッション性は下がるので、乗り心地は悪くなる傾向にあります。
この点、両車ともに比較的余裕はありつつ、シクロクロスでドロ詰まりを意識したロードツアラーはより余裕を持った作りにしています。

 
その他、ヘッドアングルをロードバイクよりも多少寝かせて、未舗装路でも少ない力で安定させることも考えられているなど、素材やその他の要素を無視してジオメトリだけで見ると両車ともに意外にも大きな性格の違いはなさそうです。 素材、重量、ギアなども加味すると普段はロードバイクのような、走りを楽しみたいという方はロードツアラー、ゆったり、荷物を積んで長い距離を走りたい場合はHSTの方がストレスなく乗れる可能性が高そうです。

 
 
 
 

HSTをカスタムして自分仕様に

私は未舗装路を含むロングツーリング仕様とするため、タイヤとハンドルを下記に、それぞれ変更しました。

 
目的地までの舗装路を自走することを考えると、これ以上に太いタイヤは逆に不便になってしまう。
かといって、これ以上細くすると未舗装路では不安。32cはそんなバランスの良いサイズです。

 
未舗装路メインに走る、アドベンチャー的な乗り方をするならば、35c以上がおすすめです。
舗装路での段差や振動も吸収し、非常に快適。
ちなみに、HSTは32cまでが推奨ですが、最大35cまでは装着できそうです。(ノブなどにもよる)
タイヤ装着部の間隔は約44mmでした。
35cを装着。

ハンドルは上からも、正面から見ても「ハ」の字型となっており、テントやバッグなどの重いものを装着しても下ハンドルを握りやすくなっていて、なおかつ安定性にも貢献してくれるのです。
 
CST
PIKA EPS耐パンク仕様 ケブラービード 700x32C
詳細はこちら
SATORI
YUKON(ユーコン) ビーチレースフレアドロップハンドル
詳細はこちら
このハンドルの安定感はピカイチですが、ブラケットポジションで狭い所をすり抜ける時などは、フレア形状が故にぶつけてしまうことがあります。速度が出ていればバランスを崩してしまうこともあるため、お気をつけください。
 
テント道具を積んで未舗装路を含む道をライドしてきましたが、舗装路では25-30km位のスピードを出せ、未舗装路ではタイヤの抵抗がMTBより少ない分楽に登れました。
 

まとめ

今回ご紹介した自転車は、繰り返しになりますが、マウンテンバイクやロードバイクのいいところを取り、さらには未舗装路を含んだロングツーリングも楽しむ懐(ふところ)の深さがあります。

 
 
テントやコーヒー道具を積んで、日帰りでもいいので気ままにツーリング。
途中道に迷って、横道のダートや河川敷にそれてもいいのです。
ロードでは行けなかった道を進めば、「ここ、こんな所に繋がっていたんだ!」と新たな発見があるはずです。

 
 
このワクワク感は、自転車に乗り始めた頃、いろいろな道に迷いながら進んで行ったことを思い出させてくれます。

 
 
普段使いでは、天候によって左右されにくい、安定した制動力のディスクブレーキが、雨の日でも余裕を持って走ることが可能です。
最初の1台としては、少し高いと感じるかもしれませんが、このマルチさを知ったら非常にコストパフォーマンスが高いと感じていただけるかと思います。

 
 
TEXT:toby