雪道から砂地、もちろん街乗りもOKなファットバイクってなんだ?種類から使い方、選び方をご紹介。

2019.11.02

ファットバイクってなんだ?

家の近くのトレイルを、同僚の親子とファットバイクで走る機会に恵まれました。

 

ところで、ファットバイクと聞いてどんな自転車か想像できますか?

簡単にご説明すると、タイヤ幅が4インチ(約10cm)前後の極太タイヤを採用した自転車で、もともとアメリカの寒冷な雪が降る土地で誕生したと言われています。
タイヤが太く、路面に力を無駄なく伝えられるので、砂や雪道はもちろん、空気圧を変えることで様々な地形、障害物に対応することが可能です。

4シーズン使えることから、4season bike(フォーシーズンバイク)と呼ぶ人もいます。

大まかに3種類。ファットバイクの分類。

実はファットバイクにも大きくわけて3種類あります。
ここでは違いと選ぶ上での注意点をご説明します。

同じファットバイクでも、用途違いのものを購入してしまうと、本来の性能が発揮できず楽しめないばかりか、破損などのトラブルになる可能性もあるので注意が必要です。

 

街乗り用に特化されたモデル

各パーツの規格や耐久性、フレームの設計などから、未舗装路の走行は基本できないため、ファットバイクルック車とも言われるモデルです。タイヤもブロックパターンではなく、太いながらもスリック形状なモデルが多いです。
ホイールサイズは20インチから26インチと種類があります。

エアボリュームがあるため、ルック車といえど、街乗りでの快適性も高く存在感もあるので、街乗りオンリーで考えている方、通勤用途にはおすすめです。
低圧にすればタイヤの設置面積も増えるので、雪の日なども走ることは可能でしょう。

 

 

例)ジープ[Jeep]
JE-267FT 26インチ

都会で乗れば、目立つこと間違いなしの迫力が魅力。

見分け方の目安としては、JEEP(ジープ)やBRONX(ブロンクス)などのメーカー名で判断するほか、価格でも判断が可能です。
具体的には7万円弱で、標準でスタンドが付いているモデルは大方街乗り用のファットバイクです。

MTBのタイヤをさらに太くしたモデル(セミファット)

27.5+(ニーナナゴ プラス)と言われる規格で、26インチより大きく、29インチより小さい27.5インチにさらにワイドリム、エアボリュームの高いタイヤを履かせています。太さとしては2.6から3インチ(7cm)くらいの幅となります。
29+(ナイナープラス)というのもあります。

 

27.5+は、結果的には29インチとタイヤの周長はほぼ同じとなり、29インチのフレームであれば高い確率で換装が可能です。

MTBで、未舗装路の悪路、ぬかるんだ路面を走ることを想定しているため、ブロックパターンが基本です。
悪路での走破性能は高く、スピードも出せるのが特徴です。

逆に、下で紹介しているドラゴンスレイヤーなど、比較的ゆっくりと走ることをコンセプトにしているモデルもあります。
MTBコースをゆっくり安全に走りたい方にもおすすめの選択肢です。

 

安定性が高いのですが、上述した通り溝の深いブロックパターンを採用しているタイプが多く、舗装路ではファットバイクよりも走行抵抗は増えるかもしれません。

 

例)ジェイミス[Jamise]
ドランゴンスレイヤー

選ぶ場合、27.5+や29+(29er+)、セミファットタイヤという記載があるかでご判断ください。価格は15万以上するモデルがほとんどです。

走れるところならどこでも!なファットバイク

これが本来のファットバイクと言われるものです。
MTBでも走りにくいような雪道や砂地といった場所でも、沈み込まず、しっかりと路面に力を加えることができます。
ゴツゴツとした岩が露出している所でも、MTBで走る時に気にするトレイル上のラインどり(なるべく滑らず、効率的に進めるライン)も気にせずガンガン進んでいけます。


重量としては13-18kg位なので、最悪乗っていけない場合は担ぐこともできます。

MTBではライン取りや体重移動などのスキルが必要ですが、そんなスキルもファットバイクでは必ずしも必要ではありません。
ペダルを回す力があれば、路面を気にすることなく簡単に走れてしまうので、トレイルに慣れていない方にもおすすめの車種です。

この日が人生で初めてのダウンヒル。通常のMTBほどのスキルがいらない点も魅力。

見分け方の目安としては、スタンドがついておらず、ゴツゴツしたブロックパターンのタイヤを装備していること。
フレームの材質はハイテンではないクロモリなどのスチール素材、アルミ、カーボンといった素材であること。
ブレーキはディスクブレーキであればこちらのファットバイクにカテゴライズされるかと思います。

価格は、ワイヤーでブレーキ制御する機械式ディスクブレーキモデルなら最低でも8万~、油圧式で10万~が目安です。

また細かい部分ではありますが、チェーンステーの長さが、ファットバイクの乗り味の性格を決める上では重要です。
チェーンステーは、長くなるとホイールベースが変化するため、直進安定性と乗り心地に影響を与えます。
逆に短くなると、直進安定性は下がる分、ぺダリング時の反応が良くなり、キビキビした乗り味になります。
一般的に、ロードレースなどのレース向けほど短く、街乗りやロングライド向けほど長くなる傾向にあります。

自転車のフレームジオメトリって大事!後悔のないロードバイク選び。

ファットバイクの場合は、ただでさえキビキビした乗り味を出しにくいので、ここを意図的に短くしている工夫をしているモデルはそれだけで運動性能が高い傾向にあります。

街乗り向けのファットバイクにおいては、チェーンステーが長い傾向にあり、街乗りでは直進安定性が高くいいのですが、やはりスポーツとして走ろうと思うと、どうしても反応の悪さを感じてしまいます。
選ぶ際はここも注目していただきたいポイントです。

そんだけ太いタイヤだと、走りが重い?

これは車種のグレードや採用しているパーツ、コンセプト、車重により異なる部分も大きい部分です。

私はファットバイクに乗る前は、見た目のゴツさから、走りが重いんでしょ?と思い込んでいたのですが、実際に乗ってみて、これはまた別の楽しみ方ができる自転車だと感じました。

まず未舗装のトレイルでは、空気圧を低めにして乗ると、すごくマイルドな乗り心地で、ここは本当に未舗装路か?という感覚になります。

反対に、舗装路では空気圧を高めれば、マイルドな乗り心地はそのままに、楽に進んでいけます。
もちろんクロスバイクやロードバイクと比べるのはナンセンスですが、タイヤ幅2インチのブロックタイヤMTBよりも楽なんじゃないか?という感じです。

ファットバイクの維持費ってどうなの?

ファットバイクは太く、大きなタイヤがついているので、交換が大変でタイヤ代もすごく高そうとイメージされる方も多いです。

チューブは1800円程度と、ロードバイク用やMTB用チューブの実勢価格の2倍近い価格になっています。

チューブ 26×3.50~4.00 ファットバイク用

 

タイヤは安いものでも8000~16000円前後と価格差があります。
確かにシティサイクルやクロスバイクの街乗り向けのタイヤと比べると2~5倍位かそれ以上の値段がしますね。

ケンダ[KENDA]
JUGGERNAUT PRO サイズ:26 x 4.50 ファットバイク アラミドビード
詳細はこちら

同じタイヤの太さでも価格が大きく違うのはロードバイクなど他のタイヤでも同じですが、コンパウンドやパターン、機能の違いは当然として、重量の差も大きいです。ファットバイクは特にその影響度が高いかもしれません。

例えば、8000円のタイヤと16000円のタイヤ重量が500g違えば、前後で1kgの差になります。
高いタイヤはチューブレス化できるモデルもあるため、仮にそれでチューブ(約400g)も取り除ければ、シーラントを入れてもタイヤとチューブで約1.5kg程度は軽量化させることが可能なのです。

自動車の世界では、「サスペンションよりも下のホイールやタイヤを1kg軽量化させると、サスペンションより上を10kg軽量化させるに等しい効果がある」という事実かどうかは別として、昔から言われている説があります。だからホイールやナットの素材、工法を工夫して軽量化させる訳ですね。

それをそのまま自転車に当てはめるのは当然乱暴すぎるのですが、自転車でもその他の部分を軽量化させるより、タイヤやホイールを軽量化させた方が効果が高いというのは、自転車乗りならば実感としてお持ちではないでしょうか?

当然タイヤのパターンによる抵抗やホイールで言えば重量バランス、回転精度など、重量だけではないのですが、15kgの自転車で1.5kgの軽量化は、他のカテゴリーの自転車ではあり得ない位軽量化できている訳です。

 

 話が少し逸れてしまいましたが、価格に関して言えば、例えばロード用のタイヤは走行距離が長くなりがちで、年に2回程度は交換することを考えれば、同じ位のランニングコストという見方もできます。
またMTBなら、サスペンションのメンテナンスやコストを考えると、サスペンションのないファットバイクはこの費用もいらない訳です。

この辺りは装備や走行距離、走るシチュエーションによっても異なるため、一概に言えない部分ではありますが、維持費を安く抑えることも可能です。

 

なお、交換する際は必ずタイヤのetrtoをご確認ください。
前後購入して使えなかったら悲しすぎます。

まとめ

ファットバイクの魅力は一言で、空気圧を変えるだけで、様々なシチュエーションに対応でき、思いっきり楽しめるフトコロの深さかと思います。

今回乗ったモデルは下記のモデル

ガノー[GARNEAU]
2019 GROS LOUIS 2 26インチ マウンテンバイク ファットバイク
詳細はこちら

ちなみに、24インチタイプは、適応身長目安としては145cmからとなっていますが、身長135cmの小学生も乗車でき、初めてのトレイルを一度も転ぶことなく走りきることができました。

ガノー[GARNEAU]
2019 GROS LOUIS 24 24インチ マウンテンバイク ファットバイク
詳細はこちら

未舗装路でも乗り手のスキルに関わらず、一緒に楽しめて比較的安全に走れる。

これってすごく重要だと思います。

子どもの走りきった後の達成感。成長を実感する、親としてもうれしい瞬間ですね。

TEXT:toby